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MP-010「床に散らばる素描と一篇のピアノソナタ」収録曲の楽曲解説になります。
本作品を聴いて頂いた後に読んでみると面白いかも知れません。
作品視聴前に読むことは非推奨とさせて頂きます。

□楽曲解説
 ※収録順とは異なります。

○全体を通して
 半音階と全音階は共通モチーフとして随所に用いられています。
 十二音技法によりモチーフが作られている箇所もありますが、厳格に運用されてはおらず、特に十二音技法により和音が紡がれている箇所はありません。
 ROUGHのかなりの部分でトーナルセンターにA(ラ)の音がいます。これはROUGH #2を作る時に受けたインスピレーション(後述)に基づいています。

○ROUGH #1
 頭のモチーフは十二音になっていますが、機能和声にのっとったハーモニーと半音階的なベースラインにより、耳に馴染みやすくしてあります。
 全てのフレーズは一つとして重複せず使い捨てられますが、最後に頭のモチーフを逆行して曲を終えます。

○ROUGH #2
 春にレンブラント展を見に行った際に、作品の中から強烈なA(ラ)の印象を受けて、ただAを展開・変奏する曲というつもりで書きました。
 中間部において少しずれますが、Ab(G#)の音を中心とした長いドミナントの様なイメージで、原調A durのドミナントEと、その裏のBbに牽引されて元のAへと導かれていきます。

○ROUGH #3
 単一的な響きとリズムの中で、その区切りに影響されずメロディーを紡ぐ実験です。
 見やすさのために6/8(1小節のみ5/8)に統一して書きましたが、右手のメロディーは厳密に運用すると殆ど拍子の安定しない変拍子ですが、少しふわふわしている程度の印象に抑えられているのではないでしょうか。

○ROUGH #4
 4度と3度と半音と距離感。
 一番実験的要素が少ないのに、一番変な曲かも知れません。

○ROUGH #5
 下に積み上がっていく和音と、連符や強弱(アクセント)によるリズム的な遊び。
 トレモロや厚い和音などを用い「よくイメージされる現代曲」をイメージして書きました。
 フレーズの頭や尺がずれているのを上手く掴んで頂いているので、やりたかったことは演奏を聴いたら伝わるかと。
 初めて演奏を聴いた時に、楽曲について何一つ言う事がありませんでした。
 最後の和音を僕は「E majorだ」と言い放っているんですが、どういう風に聞こえますでしょうか。構成音だけで素直に見ると、Badd13/F#でしか無いんですけれど。

○ROUGH #6
 楽譜には日本語でサブタイトルがついていて、それぞれ「単一主題による長調(短調)的響きへのアプローチ」と言うものです。全編英語に統一した時に、主題が一つしか無いことは聴けばわかるから良いかと省略してしまいました。
 1番は協和音程自体はそれほど多くないのですが、殆ど不協和音が無くなるように、透明感が出せるように意識しました。ROUGHの中では一番今までの曲っぽいかと思います。
 主題の変奏は上下ひっくり返す位しかしていないのに、本当にコロコロ彩りが変わっていく様と、最後にどこまでもずっと落ちていく様を楽しんで頂ければ幸いです。
 2番は完全4度と減5度(増4度)、それに全音階と半音階を中心に用いた、恐らく今作で一番不協和な曲です。個人的には色々な所に潜んでいる半音階を探しながら聴いて貰えると楽しいんじゃないかなとか思いつつ。

○Trois Nocturnes
 「水の薫る風景」で書ききったので割愛。
 プーランクのノクターンに影響を受けて、1楽章の出だしは完全にオマージュしています。
 今見ると、メロディーが常に最上位にあることなどに若さを感じますが、当時の筆力としては全力を尽くしたものであり、この時期の作品のうちで気に入っているものの一つです。

○Arabesque
 だいたいライナーに書いたのですが…AはF dur、BはF moll、CはD durで書かれています。
 と言いつつ、Bの借用和音やズレが楽しかったり、Cの途中でD mollから音を借りて日本風に響かせたり、その辺の自由さが今回加筆/改訂をした大きな部分です。
 調の束縛から逃れつつ、調の重心を忘れない…その難しい目標に、少しは近づけていれば…と。

○Archaic Song
 ソナタを書いている途中、頭をリセットするために書いたハイドン風のソナチネ。
 即興的・習作的な側面もあるのですが、平松さんがとても気に入って下さったので収録することになりました。
 ハイドン風と言う事でかなり器楽的なのと、コール&レスポンス、展開部での対位法的な部分など。

○Requiem
 ただ、祈るように。

○Sonata for Piano, No.1
 技術論的な話では仕込みが多すぎて語りきれないんですが。
 取り敢えず第一主題(一部の副主題や走句的なパッセージを除く)も第二主題(一部の副主題を除く)も中間部(副主題を除く)も一部の対旋律やベースラインも全部十二音で、構造は完全な古典ソナタ形式で書きました。
 厳密な十二音技法には、今回の制作期間中は遂に共感出来なかったので、自分なりに共感出来る部分や再解釈した部分を用いて、入れ替え(提示部第一主題で最初のモチーフが4小節目に出てくる際には、第8音が第12音になり、それ以外が全て前倒しされています)や非重複(十二音で作られたモチーフは大量に出てきて、同じ音列に拘りは持っていません)、それに和声的な運用はしないなど、十二音を使ってるだけで全然十二音技法に従ってはいません。
 構成については古典的なソナタ形式(ただし中間部を持ったロンドソナタ形式)に乗っ取っているものの、展開部が短かったり、各主題の扱いがそれほど明確に別れていないなど、古典的な形にとらわれるよりもスムーズな流れ、それに混ざり合っていく様を表現したいと思いました。

 今回書いた全ての曲に言えることなのですが、1オクターブまでしか届かなくても弾けるように書かれています。これは演奏者の手が小さく、そこまでしか届かない(1オクターブないでも音によっては厳しい)と言う事情があるのですが、同時に手の大きさに頼らなくてもこれだけダイナミクスやスケール感の広い曲が出来るというおもしろさがありました。
 演奏者の繋がりで。今回弾いて貰った平松さんがバルトークを大好きで、この曲に関しては音のぶつけ方などで意識した部分があります。…なんていうと、バルトーク好きの皆さんに「どこが?」と言われてしまいそうですが。

 他にもまだまだ色々とあるのですが、僕が考えたことは、全てに近い位演奏に出ているので、それを是非聞き取って頂きたいのですが、最後に一つだけ。
 この曲の一番最初、右手のメロディーはDに引っかけてGから始まります。左手のベースラインはBbから始まります。
 その3音で紡がれる和音Gmの主要部「G」「Bb」は、実は一番最後のトンデモ和音に含まれていて、僕は長さを指定せずに「finger pedal」とだけ指示をしてその音を書きました。
 勿論収録時に色々話したのですが…強力なF#に隠れて、ほんの少し主張しているGmが聞こえますでしょうか。きっとこの話をしなかったら僕ら2人しか解らない程度の、ささやかなfinger pedal。でもその繊細な主張が、この曲をまとめているのです。



 考えたことを全部書くのも不可能ですし無粋なので、こんなもので。
 こんな事を感じました、こんな事を考えました、ここはどういうことなのだろう、などなど、何かありましたら聞いて下されば答えさせて頂きますのでどうぞ。




□感想キャンペーン
 本作の感想をブログなどに記載して、メールなどでURLをご連絡頂けた方に「ROUGH #1」の楽譜のPDFデータを差し上げます。
 転載・再配布等は禁止させて頂きますが、ご自身による演奏の録音・動画などの公開、生放送などはご自由にどうぞ。

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